2018年07月20日

【ふたり野営部】渋い男になりたくて、夏。【巾着田】


西武線の飯能行き列車に乗ると、三十歳だった頃を思い出す。


アコースティックユニットを解散し、ミュージシャンとしてとくに上手くやれているわけでもなく、恋人がいるわけでもなく、ただ成り行きのままにフリーターをしていた俺は常々どこかに不安のようなものを抱えながら毎日をやり過ごしていた。

月並みでつまらないのだけれど『三十歳は節目』という考え方に影響されていたのも、丁度そのときだ。
実際三十歳ジャストだったわけだから然るべきとも言える。
なんだか自分の生き方がすごく駄目なものに見えて、とにかく故郷に帰ることを考えていた。

今思えば一人で勝手に追い詰められて、手にしているものを手当たり次第投げ捨てなければネガティブな思考から逃れられない気になっていたんだろうと思う。

そんな無責任なマインドのくせに、心残りは沢山あった。
上京してから十二年間のうちにできた信頼できる友人、なんだかんだ続けたことで増えた演奏の場、慣れ親しんだ場所や気兼ねなく声を掛けてくれる知り合い、まだいけるかもしれないという期待。など。


東京から離れるということを意識して数か月。
ふと、関東のことをよく知らないまま生きてきたなと思った。
俺は人生の三分の一以上こっちで暮らしているのに。

正直なところ、これまでは自分の生活圏以外のことを特に知りたいとも思わなかった。
だけどいざこの土地を離れようとすると、知らないということが猛烈に惜しくなる。
経験しないまま離れること、触れないまま終わること、それがとても嫌なことに思えた。


「行ったことのない場所に行こう」

急激にそんな気持ちが高まり、それを為すには何をするのが一番良いかを考えた。
その答が登山だ。
関東の山なんてのは特に、俺は一歩たりとも足を踏み入れたことがなかった。
これなら行く先々すべてが『初』。
東京に居るうちに関東のあらゆる場所に行こう。

そんなこんなで俺はまず奥武蔵方面の山を中心に攻めることにして、当時頻繁に西武線を使っていたのである。
まあ今もすげえ使うんだけど。

そんでまだ東京に居るんだけど、俺。




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で。

2018年7月14日(土)、三十二歳の俺は西武線飯能行きの列車に揺られていた。
今俺の中で絶賛大流行中の野営をしに行くのだ。
尚、今回は一人ではなく友人と共に。
飯能から友人の車で高麗(埼玉)の巾着田キャンプ場へ向かう手筈になっている。

飯能に行ったら毎度『山遊人』という山道具屋さんに立ち寄る。
おかみさんに会うのがいつも楽しみなのだ。
ちなみに山遊人はヤマノススメの原作に出てくるお店で、お店もヤマノススメを応援している。
よって作品のコーナーも設けられているんだけど、今回すげえものが追加されていた。



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ペーパークラフトここなたん。
すげえ。まじで。
靴下の立体感まで再現してる・・・
靴下写ってねえ・・・
ヤマノススメファンが設計から行ったというこの作品。
愛の強さがうかがえる。

そんなこんなでおかみさんと話していたら、閉店後にキャンプ場へ遊びに来てくれることになった。うれしい。
そして今夜みんなで一緒に飲もうよと一升瓶のお酒を頂いた。
これはもう今夜アルコールに困らないなと確信した。



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飯能から巾着田までは2〜3km程度。
車で行くとあっという間である。
13:00頃に着いたんだけれども、通常の駐車場は満車。
臨時駐車場へと案内された。
臨時駐車場は巾着田の奥の方にあるので、自然と人の少なめなポイントがテントの設営地となる。



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地面は砂利。
写真の人物はマリオ。
オレンジ色のは俺のザック。



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早々にテントを張った。
今回はマリオが車で色々と持ってきてくれたので椅子とかテーブルがある。
なんなら扇風機まで持ってきててすげえなと思った。

この日はとんでもなく暑くて、途中からTシャツを脱いで作業をしていた。
俺と付き合いの長い方々は御存知かもしれないが、本当であれば俺はズボンとパンツの方がよっぽど脱ぎたい。
ほんと嫌いだ、下半身の蒸れというか股間の蒸れというか明け透けに言ってしまえば金玉のベタつき。
嫌いすぎて股間に対する何らかのアイデアグッズを本気で考案している今日この頃である。



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そんなこと言ってもこんなところで下半身を丸出したらいざ尋常に逮捕なので上半身だけ丸出しとする。

設営地が川沿いなので、いつでも存分に水浴びができるという最高の環境だ。
作業中何度も水で体を冷やしに来た。



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焚火台の周りに風よけを組むと調理場感が高まる。
その辺で拾い集めた薪を大・中・小に分けておくと暗くなってから使いやすい。
あと、焚火だけで過ごすのならかなり多めに薪を集めておいた方が良い。
もしくは太い薪で長く燃やすとか。
俺の焚火台はサイズが小さいから、薪の量が必要になる。




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ほぐした麻紐に火花を飛ばし、火口にする。
枯葉から細い枝に、細い枝から太い枝に、と火が大きくなるのが楽しい。

道中で超簡単に着火するという炭も買ったので、すこし試してみることにした。
秒速で燃えた。

俺はもっとこう、、
「あっれー、なかなか着かねえなーうおお」
みたいなことを楽しいと感じるので、今後使うことはあまりなさそうだ。
まあとりあえず何かを焼くことができる状態になったので、肉を焼くことにした。

小枝の樹皮をナイフで削って作った串に牛肉を刺して炙る。
炭と薪を混ぜこぜでやっているため煙が上がっており、結果燻製ができた。
おいしい。そしてかっこいい。



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この日持ってきたナイフはお気に入りで、親父からもらったものだ。
ハンドルにパラコードを巻いて、メイプル木材で鞘を作って、革でベルトを作ってみた。
自分でカスタムしてゆくのは楽しくて愛着が高まるので良い。

やはり道具というのは気に入っているものを使うのが良い。
利便性だとか汎用性だとか携帯性だとか、そういった部分も重要だけど、使っていて気分が高揚するものが一番である。



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日が落ちてくると野営感が増し、焚火がより魅力的なビジュアルになる。
俺は喫煙者で普段アイコスを吸っているのだけれど、この日ばかりは紙巻を吸った。

焚火台の中から火のついた枝をつまみ出し、くわえ煙草の先端に押し付ける。
そのまま軽くフィルターを吸えばジワリと煙草に火が移る。
あとは自身をスティーヴンセガールかノーマンリーダスだと思えば勝手にワイルドが走り出すから大丈夫だ。任せておけ。



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そうこうしているうちに、仕事を終えたおかみさんが遊びに来てくれた。
お疲れのところ電車に乗って来てくれるとかもう凄まじくうれしいな。
ということで三人で先の日本酒を飲み、山の話やカメラの話をたくさんした。
このメンバーは全員登山をするし写真も撮るので色々と情報交換ができて楽しい。


俺たちの野営地は巾着田の出入り口から結構離れている。
おかみさんを送って歩いたときに思ったが、その道程がもう真っ暗だった。
ライトがなかったら歩くのを躊躇うレベルで暗い。

「またね」とおかみさんに手を振ってから、ひとりの真っ暗な帰り道はウォーキングデッドを意識しながら歩いた。
さしずめ野営地がアレクサンドリア、巾着田出入口がヒルトップ。
そして今俺こそが満を持してのダリルである。
何言ってるかわからねえと思うけどとりあえずウォーキングデッドを見てくれ。おもしろいから。グロいけど。



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夜もすっかり更けたので、俺たちはそれぞれテントに入り眠ることにした。

ただ、じわじわと暑い。
シュラフマットの保温効果が今完全に裏目で、地面に直接寝た方が冷たくて気持ち良いという状況だった。
寝心地を取るか温度を取るか。
どちらも快適な睡眠に必要な要素なのだけれど、俺は温度を優先した。

シュラフマットを除けて地面に寝転がる。
無数の小石が背中のツボというツボを刺激してきた。
なんか血行すげえ良くなりそう。しらんけど。



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翌日、朝食はホットサンドを食べた。
家でもわりとよく作るのがこの目玉焼きサンド。
パンに卵を落として挟んで焼けばトーストと目玉焼きを同時に作れたのと同じことなので、なんつーか手間を省いて楽ができたような気になれておすすめ。

食後にコーヒーと煙草をゆっくりと味わい、我々は撤収の支度を始めたのであった。



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何事にも言えることだけれど『どんなことをどんな風にやりたいか』を意識することが大切だ。
それだけで行動が変わり、満たされ具合が大きく変わる。
学習速度も成長速度も変わる。
なんつーか、好きなことに真剣に向き合いたいなと思う。

野営についてはどんどん野性的な感じに変えていこう。



posted by 佐藤直 at 19:09 | Comment(0) | 野営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月01日

【ひとり野営部】夢中になるということ

2018年4月28日


レースのカーテンだけを引いて寝るせいもあって、朝日の眩しさで目が覚める。
早朝の空が綺麗に晴れ渡っていた。
最近ろくでもない夢ばかりみて夜中に数回起きるので、清々しい筈の朝の風景を前にしても気分は最悪だ。
ただ、なんつーかミュージシャンとしては最悪の気分の方が自分の音楽にのめり込める。
俺の曲はそういう曲ばかりだ。


昔、しばらくは悲しみや憎しみばかりを曲にする自分自身を疑問視してきた。
苦しさに浸っているようで、同情でも買おうとしているようで、そう思われるのも嫌で。
あいつマゾヒストなんじゃないの?やだー変質ぅーって思われそうだし。
そんなことを意識していることが知れたらあいつナルシストなんじゃないのやだーとも思われそう。


だけど今はあんまり気にしていない。
俺は自分より苦しい経験をした人の言葉を聞いて頑張れたし、自分よりみっともない醜態を晒した人の経験を知って己の苦境を堪えることができた。

そんでその表現者自身が歯を食いしばってまだ生きてて、しかも本来抹消したくなるような過去を表に出してる様を見て心臓を掴まれたような気になった。
ガッツあるなあって。
人間ってつええなって思わされた。

たぶんその表現者たちはそうやって吐露することで自分を救ってるし、聞いてる側にしても俺みたいな理由で救われてる。
だったら俺もそういう風に音楽を使っていこうと。堂々と使えばいいやと思っている。
浸ってる俺を存分に見てくれ。
全力で溺れて全力で這い上がってやる。


でもまあ正直やってて苦しいもんは苦しい。
自分から何度も嫌な記憶を撫でに行くのはバグったゲームをしてるみたいだ。
これに堪えられなくなったときに、また別の感情で曲を作れるようになるのかもしれん。知らんけど。




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そんなこんなでこの日は午前中から池袋の屋外ステージでライブだった。
ゆっくり身支度を整えて家を出る。

会場は朝から多くの人で賑わっていて、イベントは盛況のようだ。
控室で前日に仕上がった新曲を少し練習し、ステージに上がった。

やっぱり西口公園の雰囲気は良い。
好きだ。
IWGP。




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久々の屋外ライブだった。
声がどこまで届いているのか、途中でわからなくなったから少し叫び気味だったかもしれない。
でもそれで良い。
自分に甘く言うわけではなく、この日はそういう風に歌わないと意義がないと思っていた。
自分の言葉を自分の気持ちだけで全部でやらないと。

抑揚とか強弱とか、バランスとか、人にものを伝えるうえでとてもとても大事だけど。
心だけにステータス全振りでやらないと駄目なときが必ずある。
その曲に込めた苦悩をまだ乗り切れていないとき。
乗り切ったと思っていたものがぶり返したとき。
そういう意味で自分の為にやって、自分で乗り切ってからやっと誰かの為にやれるんだと。なんつーかそう思ってやっている。

飯能から来てくれたお客さんが「聴きに来てよかった」と言ってくれた。
知らないお客さんが投げ銭を入れてくれた。
すごく嬉しかった。

『ものは表現されることで救われる。人はものを表現することで自己を救うことができる』みたいなことを三木清って人が本に書いてたんだけど、本当にそうだなと思う。
『もの』ってべつに感情とか状況って捉えてもいいと思うんだよね。
なんかもう書いてることに脈絡がなくてあれだけど、とりあえずここまで読んでくれてるあなた。ありがとう。好きだぜ。



自分の出番を終えて、色んな人と話をした。
久々に会って喜んでくれる人、イベントに誘ってくれる人、次に合う計画をしてくれる人。
なんだよ、超あったけえんだが。
もう俺32歳だけど泣く可能性を感じた。
いや、32歳だから涙腺が弛んできてんのか。関係ねえか。
とりあえず膀胱あたりは着実に弛んできてるよ。

いっそのことイベント最後まで居るのもいいなと思ってたんだ。
だけど俺はこの日どうしてもやりたいことがあった。
というかやらなきゃ腹の虫が治まらんというか。


あれだ、野営だ。


三連休の最終日はあやふやな予定が入っていたから、やるならどうしても最初の二日間なわけである。
そして今日明日と絶好の快晴予報ときたらやらない理由などない。
みんなに挨拶まわりを済ませて、俺は帰宅した。



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とりあえず風呂に入って、服を着替える。
焚火必須なので素材のチョイスは綿一択。
とりわけワイルドなものが良いとされるこの野営業界。
ここはジーンズにモッズジャケット、くわえてハンチングキャップで決まりだ。
45Lのザックに荷物を無理矢理詰め込んで俺は再び家を出た。



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野営地は埼玉県高麗の巾着田。


久々に来た。
二年前、初めて山登りをしたのが巾着田のすぐ側にある日和田山だった。
あのときも一人だった。
懐かしいし、何より年月の経過が無茶苦茶早い。
もうちょっと遅くてもいいのによ。


で、到着したときはすでに17:00を過ぎていた。
暗くなる前にテントの設営と薪拾いは済ませたいところ。




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砂利の地面にグランドシートを敷いて、その上でテントを組み上げる。
俺が使っているのはMSRのエリクサー2だ。

設営はとても簡単なので、初心者でもあまり迷うことはない。

文句があるとしたら色かな。
フライが真っ白だったらもっと俺好みなのに薄い鼠色だ。
夜中に中で照明を点ければ白く見えるけど。




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そこらへんから乾燥した枝と枯葉を拾い集め、焚火台に詰める。
詰めるというより組む感じか。

俺が使っている焚火台『笑's B-6君』はその名の通りB6用紙サイズなので、そんなに大きな薪は入らない。
メインになる薪は手で折れるくらいの太さのもので十分だ。
とりあえずコーヒーを淹れて、ビーフジャーキーを炙る。


俺はここ半年以上たばこをIQOSに変えているんだけれど、今日ばかりは紙巻を用意すればよかったなと思った。
薪を持ち上げて火を着けるとか、めちゃくちゃかっこいいじゃんね。
渋すぎてオシッコ漏らしそう。




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日中の池袋で出店してた『アスナロ農園』さんの切り干し大根とタケノコをメイン食材にして夕食のスープを作る。
調味料は一式まるっと忘れてきたので、味付けは大根のビール漬けとベーコンの塩味だけに懸かっている。

とても旨かった。

思ったよりしっかり味が付いてたし、食材の風味がよく出ていた。
あと、シンプルに煮るだけというのも男らしさを感じる。




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すっかり暗くなったので、ホットウイスキーを飲みながらただひたすら焚火をいじっていた。
風上も風下も考えず適当な場所に座っていたけれど、煙は一切俺に寄り付いてこなかった。

テントからシュラフマットを取り出して寝転がると、やたら明るい月が見える。
満月だったのかな。丸かった。
何だか気分が悪かった。

焚火以外にやることなんてない。
違うな、やりたいことがなかった。
本を読もうかと思ったけど、気乗りしないのでやめた。



もっと考え事でもするかと思っていた。
悩みや不安や嫌悪心を増幅させて、心をすり減らして、ゲロゲロに疲れてから投げ出すなり飲み込むなりできるものだと思っていた。

でも実際は、徹頭徹尾あまり物事を深く考えることもなく。
「あ、火が着いた」とか
「あ、これ旨いな」とか
「あ、なんか寒いわ」とか、そんなことしか頭に浮かばなかった。



どうでもいいわけじゃない。
色々と本心から大切にしているつもりだ。
逃げ出したいとも思っていない筈だ。
ただそんなことは関係なく、何にも浮かばないから何とも思わなかった。

たぶんこれが独りの効能なんだろうと思う。
寂しさも苦しさもとくにない。
静かなだけだ。




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つーかほら、夜にテントの中で電気点けると白に見えるでしょ。
まじかっけぇ。好き。

テント内にアルミ蒸着のエマージェンシーシートを敷いた効果なのか、暖かかった。
むしろシュラフに入ると暑いくらいで、寝るときは服を脱いでパンツ一丁。

本来であれば全裸が最も好ましいんだけれど、何かあったときにテントから全裸のおっさんが出てきたらちょっとした草g的な騒ぎになりそうなので、最低限の秩序としてパンツは身に着けることにした。




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ちなみに俺はヘッドライトしか明かりを持っていないので、水の入ったプラティパスボトルを照らしてルームライトにしていた。
光が拡散されるから、ライトの出力を最低に絞っても結構明るかった。



電気を消してぼけっとしていたら、何か知らないけど虫の声がたくさん聞こえた。
あと川の流れる音。
で、寝返りとか打つと地面の小石がずれる音。
自分の鼻息の音。




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朝日で目が覚めた。
テントの布もレースのカーテンも、遮光性なんてそんなに変わらない。

夢は何もみなかった。
覚えてないだけかもしれないけど、それならみてないのと同じだ。
だから途中で起きることもなかったし、今気分は最高でないにしろ最悪でもない。
なんつーか全部が普通。

とにかく腹がへった。




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昨晩残ったスープを温めて食べる。
味が染みてて、濃くなっている気がした。
すげえ旨い。

朝冷えの空気を吸いながら、肌で感じながら。気分がよかった。



食事を終えてコーヒーを飲んでいると、次第に日差しが強まってきた。
蒸し暑くなる前に撤収の準備に取り掛かる。
本当は連泊をしても構わないような気分だったけれど、あやふやなままの明日の予定が頭に絡みついてやめた。




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シュラフの収納にイスカのコンプレッションバッグを使っている。
これがちょっと引く程コンパクトに圧縮されるので自慢したい。

上記の写真が圧縮前。
これが。




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こうなる。

あれ?マリオ、ノコノコにやられた?ってくらい差が激しい。
キノコを摂る前と後じゃ人が変わったようにサイズ変わるじゃんあいつ。
シュラフのサイズ変動も全然マリオに負けてない。




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巾着田の最寄駅は高麗なのだけれど、時間に余裕もあることだし飯能まで歩くことにした。
いつも仲良くしてくれている山ショップ山遊人のおかみさんにも会いたかった。

高麗峠→天覧山→飯能の流れで行こう。




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先に書いた俺の初登山、日和田山だが。
二年前に訪れた際も高麗峠を歩いた。

何もかもが初めてで、ひとりで、心細くて。
『昼でもイノシシが出ます』っていう看板とか過剰にビビったりして。

いま見ると普通の、穏やかで豊かな道だ。
思い出の道だ。




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いつかと同じ場所、同じ構図で写真を撮った。
あの時は三脚とwifi操作で自撮中にカップルが歩いてきてくそ恥ずかしかったな。
そんなことを思い出しながら自撮りに勤しんでいると、今回は父娘カップルが歩いてきた。
恥ずかしいぜ。



道中、開けたところでおじさんが独りでたばこ休憩をしていた。
俺もそこらへんで休憩。
「大きな荷物だね」
とおじさんが声を掛けてくれた。
キャンプ帰りで歩いている話をしたり、おじさんの地元の話に耳を傾けたりしてしばらく過ごした。

おじさんの話のなかで「やることないからね、よく歩きに来るんだ」という言葉がやたらと心に残っている。
きっとおじさんはやることがあってもこうして歩く人なんじゃないかな。




巾着田から天覧山山頂までたぶん4〜5kmだと思う。
歩くなかで色んな人が話しかけてくれた。
荷物が異様にでかいから、やはり。

何であれ知らない人と言葉を交わすのは楽しくて嬉しい。
最近自分が人見知りじゃないなと思い直した。
嫌いなタイプがはっきりしてるだけだ。




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天覧山に登ったのも久しぶりである。
見晴らしがいいよね。
気軽に登りに来ている様子の人がたくさんいた。
地元の人たちに親しまれているのがよくわかる。
地元福井でいうなら足羽山みたいなもんだろうか。
俺は木田山も好き。
木田小学校の校庭にある木田山。
よく考えたら俺の初登山はあれだわ。




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山遊人に到着。
飯能に来たらいつもここに来ておかみさんに会う。
毎回長居させてもらうのだけれど、楽しそうに話に付き合ってくれて俺はすごく嬉しいんだ。

これからのことを考えて65Lのザックを購入。
オスプレーのアトモスだ。

腰のホールド感が猛烈に良い。
ザックに抱き着かれてるみたいで、俺みたいにすぐ人肌恋しくなる甘えん坊で変質なおっさんは今すぐ買うべき。

いや、普通の人にもおすすめというか普通におすすめ。




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というわけで、ひとり野営部でした。
たぶんこれからもひょこひょこやるんだろうと思う。


ひとりになると無理矢理にでも夢中になれるから良い。
『夢中』で合ってんのかな。集中と言ってもいい。
なんでもいいけど打ち込める何かが幾つかあることが俺には重要だ。

俺はどれか一本に固執するとたちまちバランスを崩して、どこかから狂ってくる。
音楽であれ、金稼ぎであれ、人間関係であれ、俺はもう執着したくない。

そのうえで、手を伸ばしたものはすべてきちんと向き合ってやる。






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エムエスアール(MSR) アウトドア 軽量 バックパッキングテント グランドシート(フットプリント)付 エリクサ-2 (2人用) 【日本正規品】 37411



MSRのエリクサー2.
憧れのMSRながらリーズナブルである。
組み立ても全然難しくないので良いなと思う。
山岳テントと比べると若干重いけど、グランドシートを除けば大体2キロくらいなのでそんな重くもないかな。
回復力が高そうなネーミングに胸が熱くなるテントだ。




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OSPREY(オスプレイ) アトモスAG 65 M シナバーレッド



何回も言うけどとにかく腰への吸い付き方が尋常じゃない。
こんなにフィットするザックは初めてでなんつーかもうトキメキすら覚える。
これから大活躍するやろうなあ。

腰のベルトが長すぎて、締めこむと大分余るのが難点かな。
ありとあらゆるデブの腹に対応できる。
さすがアメリカだぜ。



posted by 佐藤直 at 00:12 | Comment(0) | 野営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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